夫の浮気調査を依頼しても問題ないか最近、夫に電話をしても出なかったり、今までと様子が違ったりするため、他の女性と浮気をしているのではないかと不安です。探偵に頼んで尾行や張り込みをしてもらおうと思うのですが、法律に触れるような問題はないでしょうか。
ロプライバシー権と不貞行為探偵・興信所の調査は、調査対象者のプライバシーを本人の同意なく調査する場合がほとんどであると思われます。法は、個人のプライバシーの権利を保護していますので第一章参照、これを侵害することには問題があるといわざるを得ません。しかし一方で、配偶者の浮気などが疑われる場合、その疑いを確かめたいという場合もあるでしょう。特に配偶者の浮気は、民法上、不貞行為に当たり、離婚原因の一つになり得ます民法七七〇条。そのため、配偶者に浮気があったことを証明できれば、配偶者に対し、離婚の請求や、慰謝料の請求が可能となってくるでしょうし、浮気相手に対しても、慰謝料請求できる可能性があります。口調査目的そこで、どのような場合であれば、調査が許されるかの問題となります。一般的には、調査目的が正当か、調査方法や調査事項が妥当であるかなどを総合的に判断しなければならないでしょう第三章Q1参照。ご質問の場合、夫の浮気、すなわち配偶者の不貞行為の有無は、夫婦関係が継続できるか否かにとって重要な問題ですので、それが疑われる一定の根拠があるということであれば、調査目的として、正当性を欠くとまではいえないでしょう。口調査方法次に、その調査の方法が問題になります。まず尾行が許されるかですが、一般的にいえば、繁華街や公道といった公開された場所を、平穏に尾行するという程度であれば、許容される範囲であると思われます。しかし、夫と相手が入っていった場所をのぞき見たり、浮気相手の住居に押し入ったり、あるいは、四六時中にわたり後をつけ回す等の行為は、もはや許容される範囲を越えるものといわざるを得ないでしょう。また、他人の進路に立ちふさがったり、迷惑な方法でつきまとうまでに至ると、軽犯罪法一条二八号に抵触する可能性もあります。他人の住居や部屋などに断りもなく入ったりすれば住居侵入罪刑法一三〇条に抵触しますし、さらに浮気の証拠になるからといって手紙などを無断で持ってきたりすれば窃盗罪同法二三五条に該当するおそれがあります。それでは、張り込みはどうでしょうか。張込調査は、特定の場所で調査対象者が現れるかどうかを監視し、調査対象者の行動を調査するものですので、調査対象者の後をつけて行動を調査する尾行よりも、調査対象者のプライバシーの侵害の度合いは低いといえるかもしれません。ただ張込調査であっても、非公開の場所における張り込みは問題があるといわざるを得ず、場合によっては住居侵入罪などに該当する場合もあります。いずれにしても、探偵に調査を依頼する場合には、その調査が許容される限度を越えないものであるかどうか、十分に気を付けなければならないと思われます。