結婚詐欺と後妻業の被害増加
新聞やニュースなどでは、現代の男女ともに晩婚化・非婚化が進み、少子高齢化に拍車をかけていると報じられています。一方では、女性を対象にした結婚詐欺による被害は増大傾向にあり、この二つの事実を突き合わせると、ある結論に行き着きます。「女性は本当は結婚したい。でも理想は低くしたくない」この考え方が、結婚詐欺に付け入る隙を与えてしまうのです。理想の伴侶との出会いを求める女性にとって、その可能性を高めるのが「婚活サイト」や「出会いのパーティ」です。出会いが少ないと嘆く女性にとっては、救世主のような場所ですが、しかし、視点を変えると結婚詐欺師たちの恰好のハンティング場所でもあるのです。特に高い年収を誇る独身起業家限定パーティや、医師・弁護士など、高収入で社会的地位も確立されている男性限定のサイトなどは、大賑わいです。そこに集まる女性たちの意識も高く、三高男性を求めて理想を守り決して妥協しません。詐欺師たちにとって、そこがねらい目です。これぞと思った女性に言葉巧みに声をかけ、「年収一億円」とか、「アメリカの脳外科医」とか、ちょっと聞いたたけでは荒唐無稽の、まさに詐欺師じゃないかと思えることを堂々と臆面もなく語ります。この堂々たるウソを語るのが詐欺師のやり口で、理想を摑もうと思っている意識の高い女性は、雰囲気がちょっとイケメン風だと、すぐに信じてしまうのです。それは「本当なの?」という希望的観測から、時間もかからず「本当だったら素敵!」に変わってしまい人間心理が働いているからです。人は「そうあって欲しい」という願望が強くなると、願望の前提(この場合、結婚できるかもしれない男性の条件)を、事実として捉えてしまう傾向があります。結婚詐欺師は、そうした女性心理を知っていますので、口からでまかせでも、理想にかなう創作話を次から次へと繰り出します。あっという間に、女性は詐欺師のとりこになって、結婚をちらつかせながら言われるまま金銭の要求に応えてしまうのです。しかし、年収3億円の男性なのに、50万円・100万円と要求することなどあり得るのでしょうか?普通あり得ないと思いますが、「今、持ち合わせが……」とか「上場を狙ってるので自分の収入に手を付けられない……」などと、理解不能な言い訳で丸め込みます。少しでも違和感を訴えると、「じゃ結婚の話は無しにしよう。せっかく好きだったのに、疑われちゃ……」と、今度は弱みに付け込んで脅します。女性は結婚を焦っているので、結局、おかしいと感じても別れられないのです。理想の男性との恋愛に夢中になっている。被害女性本人が目を覚ますのは、かなり難しいのですが、家族や友人、親族の方が客観的に見て「おかしい」と思う場合、家族の方から詐欺を疑われる相手男性の身辺調査を依頼されることがあります。こちらも事件の増加とともに、調査案件として近年増え続けています。一方、結婚詐欺の被害に遭うのは、女性ばかりではありません。資産家の゙人息子や、巨額の現金を相続したばかりの男性が、やり手の女詐欺師にひっかかる事例も報告されています。では弊社が担当した、男性が被害者となった「結婚詐欺事案の調査」を、いくつかご紹介しましょう。